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モバイルウィジェット、ガジェットの展開

株式会社ハナツキ 波多江祐介
2008年8月11日 / 10:00
 
 
モバイルのウィジェット、ガジェットというとデバイスが多岐に渡るため、本コラムでは主に携帯電話端末で利用するサービスにフォーカスしていきたい。

単純に PC 利用と同じで、モバイルから「ウィジェット、ガジェット」サービスを利用でき、RSS など簡単な動的コンテンツを発信するサービスなどがその前身となるだろう。

特に海外キャリアなどは積極的にサービスを始めており、一部対応端末などを発売していた。しかし、中身はニュースや時計といった簡単なもので開発環境も独自仕様のため、既存アプリを横展開するといったことがやりにくいもので、開発の敷居が高いものだった。

そのため一般的にサービスが普及するレベルにまでいかず、盛り上がりに欠けていた点も事実だろう。

それがここ1〜2年の間に PC ウィジェット、ガジェット同様、実行環境の統一化(W3C 基準)がされてきて、開発者にとって敷居が下がりつつある。HTML や CSS など Web 標準技術での開発が可能なため多数のウィジェット、ガジェットが登場している。

ユーザーからしてみても様々なバラエティに富んだウィジェット、ガジェットを選べて使える時代になっている。今回は、これらのウィジェット、ガジェット、またそれらに近いサービスを提供している企業にフォーカスしてみたい。

■Widsets
フィンランド Nokia が提供するウィジェットサービス。当初は RSS サービスといった簡単なコンテンツサービスだったが、最近はウィジェットとして作成・利用することが可能となった。

Web サイトで利用するだけでなく、ケータイ端末に直接ダウンロードすることも可能。また、56言語に対応しており、数百機種の端末に対応、5,000以上のウィジェットが提供されている(2008年7月現在)。すでに Nokia 端末には一部の機種にプリインストールされているものもある。

Widsets 向けウィジェットの開発ツール、開発キット(SDK)などの提供も行っており、ウィジェット開発も特別な知識や決まりがあるものではないため、トライしやすい環境が整っている。

さらにコンテンツ配信事業主が参加する広告ネットワーク「Nokia Media Network」に加わり、大規模なモバイルウィジェット広告を展開させることで、ウィジェット、ガジェットから収益を生むビジネス要素も確立されてきている。

日本にはあまり馴染みのない Nokia だが、携帯の世界シェア4割を超える規模なだけに、彼らが Widsets サービスを本格的に普及させることで、着実にモバイルでのウィジェット、ガジェットの利用環境が構築されていくだろう。

■iPhone
ご存知のとおり最近話題のケータイ端末。iPhone ではウィジェットのことを「アプリ」とも呼んでいるが基本は同じと考えて問題ないだろう。ケータイ端末向けウィジェットを検証するにあたり、大きなインパクトを与えたこのサービスについては、次回のコラムで詳しく解説をさせていただく。

■日本のモバイルウィジェット

<NTT ドコモ>
正式にウィジェット、ガジェットサービスの展開は公表していないが、世界の動向や国内キャリアのウィジェット、ガジェットサービスの対応を考えると、近いうちにサービスを開始すると思われる。

現状、ウィジェット、ガジェットに近いサービスを探してみると「iチャネル」というサービスがウィジェットの前身になると思われる。

ケータイの待ち受け画面にニュースなどの最新情報がパケット経由で配信され、ユーザーは常に最新情報を目にすることができる。まさにニュースウィジェットのようなものだ。

内容はとてもシンプルかつ分かりやすいもので、契約数も1,500万を突破(2008年1月現在)するという驚異的な数値をたたき出し、早くもモバイルウィジェットの成功例のように思える。

ビジネス目線では「課金」ができているのがとても興味深い。通信料込みで月額157.5円(ベーシックチャネルのみ。おこのみチャネルは別途パケット通信料が必要)という定額ながら、多くのユーザーが利用している点は今後の参考にできる。

何よりもモバイルウィジェット、ガジェットをユーザーが利用するにあたり、その障壁となるのが「パケット課金」だろう。「パケット定額制」にしていないユーザーからしてみると、ウィジェット、ガジェットの利用は多大なパケットが必要になると想定されるので、興味があっても中々利用したくないユーザーも多いと思われる。

しかし、「ウィジェットにパケット料金込み」としてしまうことで、ユーザーのパケット通信料金への支払い意識を薄め、いつの間にか料金が発生しているという感覚で、ユーザーが利用していると思われる。

この仕組みを他のウィジェットに展開すれば、パケット料金追加によるユーザーの躊躇を払拭できるだろう。この「iチャネル」での成功体験をウィジェットに横展開して、新たなビジネスにする日も近いと思われる ドコモ のウィジェット戦略には注目したい。

<au>
国内大手3キャリアで唯一正式にサービス開始している「au one ガジェット」。 au が展開するガジェット対応端末なら待ち受け画面に配置して、発着信履歴、カレンダー、写真スライドショーなどの機能をガジェットで利用できる。

また、外部サーバーとの通信を取得して利用する、メール機能ガジェットなどもある。

ユーザー保護、セキュリティの観点からガジェットの配信は KDDI サーバーを利用して行うことに制限されており、個人開発者がガジェットを作成して自由に配信することは現状できない。

しかし、公式サイトであればある程度自由な配信が可能だ。この「配信制限」は誰でも開発できるウィジェット、ガジェットの流れに反するものではあるが、悪意のあるウィジェット、ガジェットからアドレス帳などのデータが流出するリスクなどを考えると、こういったセキュリティの配慮は重要だ。

PC のようにセキュリティソフトを導入して自身でウイルスを防ぐのが当たり前となっているものとは違い、ケータイはキャリアの影響力が強いためガジェットを介してのウイルス感染などが起きないような配慮が十分にされているのが au one ガジェットの大きな特徴でもある。

実行環境は Opera ウィジェットであり、これは PC の世界でおなじみの HTML や CSS などの Web 標準技術に準拠したものなので、オープンな API 環境を利用したマッシュアップアプリの開発も可能になる。

さらに au one ガジェット用に開発したガジェットを PC などに横展開することも、ソースはそのまま流用できインターフェイス部分のパターン制作のみで動作させることもできる。

まずは PC 用で開発した Opera ウィジェットを au one ガジェットに展開してみるのがコストを抑えることができ魅力的だろう。公式サイトを運営する企業などが、この今までにないやり方でユーザーとコミュニケーションをとることができるガジェットに大きな注目をしている。

デバイスにとらわれない開発ができる au one ガジェットは今後のサービス展開が楽しみだ。

<ソフトバンク>
jig.jp ベースの「Yahoo! デスクトップ」というウィジェットアプリをリリースしている。

これもウィジェット対応のソフトバンク端末に搭載されており、ケータイの待ち受け画面に Yahoo! 検索や、Yahoo! 天気予報などが表示され、Yahoo! ウィジェットギャラリーから好きなウィジェットを新たにダウンロードして追加することも可能。

さらに RSS など動的コンテンツの受信が可能となり、より PC と差のないシームレスなウィジェット環境が整ってきている。これらのウィジェットの新規開発も jig.jp が配布している jiglet 開発キットにて可能だ。

また、ソフトバンクは China Mobile、Vodafone と3社共同で「ジョイント・イノベーション・ラボ(JIL)」という合弁会社を立ち上げている。この JIL は様々な携帯端末プラットフォームや OS に対応したモバイルウィジェット用実行環境を開発していくとのこと。

これら3社共通で利用できるウィジェットが本当に開発/配信できるとなると、とんでもないユーザー数に配信することができる。各社最新の数字をまとめると約合計6億5,000万以上のユーザーがいる。

・ソフトバンクモバイル ⇒ 契約数:約1,858万(2008年3月末現在)
・China Mobile ⇒ 契約数:約3億9,200万(2008年3月末現在)
・Vodafone ⇒ 契約数:約2億5,200万(2007年12月末現在)

自分の開発したウィジェットをこの6億5,000万以上のユーザーに配信できるとなると、その先にどんな世界が待っているか想像もつかないと感じてしまう。このソフトバンクと JIL の今後に大いに注目していきたい。

(執筆:株式会社ハナツキ 波多江祐介)

記事提供:HANATSUKI(ハナツキ)
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