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マイクロソフトの「Windows Vista サイドバーガジェット」戦略

株式会社ハナツキ 波多江祐介
2008年5月7日 / 10:00
 
 
■Windows Vista サイドバーガジェットとは

Windows Vista の OS を導入するとデスクトップ端に表示されているサイドバー。そこにいくつかのアプリケーションが搭載されており、それが「Vista サイドバーガジェット」である。サイドバー自体は最初から常駐しているため、何か特別なダウンロードなどしなくとも Windows Vista を持っていればすぐに利用可能である。

プリインストールの Vista ガジェット以外に、Microsoft 運営の Windows Live Gallery からガジェットの追加ダウンロードが可能で、様々な開発者やユーザーが考案したガジェットが揃っている。

この Windows Live Gallery に掲載されているガジェットの数を調べると以下のようになる。

・Vista サイドバーガジェット登録数(日本語)【175】
・Vista サイドバーガジェット登録数(全ての言語)【4,465】

※上記数値は2008年4月末日時点となります。

日本語の Vista ガジェットで、最も多くのダウンロードがあるもので20万を超えている。

制作したガジェットを自社サイトに UP するだけの開発者や企業もいるため、Microsoft 公式の Windows Live Gallery に登録されていないガジェットも含めると上記数字以上の数があると想定される。

■ウィジェット、ガジェットの本命か その優位性と課題

<優位性>
何と言っても OS プリインストールというのは大きなインパクトである。ウィジェット、ガジェットのことを全く知らないユーザーも、PC を購入したらデスクトップ上にサイドバーが表示され、多くのガジェットが稼動している状態は誰の眼にも触れ、使ってみようと思うものである。

Windows の PC を購入したら Vista サイドバーガジェットが稼動しているという状況は他社のウィジェット、ガジェットサービスよりも大きな優位性となっている。Vista ガジェットをキッカケに、他のウィジェット・ガジェットサービスも使ってみるというユーザーも今後増えてくるだろう。

<課題>
先ほどの優位性と相反するものだが、Windows Vista OS を導入していないと Vista デスクトップガジェットを利用できない点が課題となってしまう。未だ Windows XP ユーザーも多いし、Mac ユーザーもいる。そんな環境の中で、Vista ガジェットを使いたくとも PC 環境がそれを許さない状態なのでこれは大きなハンデとなってしまう。

しかし、今後 PC 買い替え需要が増してくると、Windows XP ユーザーの多くが Vista へ切り替わると思われるためこの心配も少なくなってくるだろう。

■ユーザーと開発者に対して(今後の戦略も含めて)

Windows Vista サイドバーガジェットを利用するユーザー、開発者に対しての戦略をマイクロソフト株式会社オンラインサービス事業部 プロダクトマネージメントグループ シニアマネージャー 安藤浩二氏よりコメントをいただいたものも含めて紹介する。

<タイミングの合致と多様性>
Windows Vista ガジェットが登場した背景から考えると、ユーザーのネット利用動向はネットサーフィンから始まりポータルサイトで情報収集、そして SNS のコミュニティというかたちで変化している。こういった流れは「自分のほしい情報を、自分好みのスタイルで受け取りたい」というかたちに変わり「ニーズ」も高まっている。

ここでいう「自分好みのスタイルで」というのはパソコンや携帯電話など今使っている端末の違いや、mixi(SNS)やポータルなど今見ている画面に関わらずにユーザーが特別意識しなくてもその場に自分のほしいと思う情報にすぐにアクセスできることであり、欲しいと思う情報をどういう窓口から受け取りたいかは人それぞれ違いがあるので、多様なソリューションが求められる。

またマーケットニーズのほか、技術面でも RSS や XML など共通フォーマットが標準として確立され、情報を発信する側は一つのファイルの更新を1回行うだけですべての情報の更新が完了できるようになり、情報を受け取る側は標準ファイルを読み取る仕組みさえ用意しておけば、どのようなソフトウェアや端末でも自動的に更新される情報を表示できることができるようになってきた。いわゆる技術の「共通化と効率化」が進んだのである。

このようにユーザー側の「ニーズ」と、技術面の「共通化と効率化」が同じタイミングで出会い、合致することで「ガジェット」というものの有効性が重要視されるようになったといえる。

おりしも Windows Vista がユーザー・エクスペリエンス(直感的に操作ができてわくわくするような体験を与える感覚)を最も重要視して開発されてきたことから、「Windows Vista サイドバーガジェット」はユーザーの欲しいと思う情報をわくわくするような感覚と一緒に提供できる一つのソリューションとして考えだされたということだ。

<自身の個性演出とエントリーポイント>
実際ガジェットを利用するユーザーに対しては、多くの種類があるガジェットの中から自分自身の個性を表すものを選んで、自己を表現する手段として活用してもらいたいという。

すべて同じ Windows OS を搭載した工業製品である PC はいずれも似たようなデザインで、皆が同じようなデスクトップを構成していてどうしても個性を発揮するのは制約があるもの。

そんな PC をデスクトップの中でインテリアのレイアウトを考えるような気持ちで個性を演出できる場となれるはずだとも考えている。家電量販店の中で高額商品の部類に入る PC を、もっと使いこなして豊かなデジタルライフを過ごしてもらうためのツールそれがガジェットである。

また、ガジェットは単体で完結するもととは考えてはおらず、ガジェットにつながる他のサービスやコンテンツと一緒に、気軽に、無意識に、○○しながら、楽しむ「情報のエントリーポイント」の役割だという考えを示している。

例えばテレビのワンセグチューナーに連動したガジェットを通じて、テレビ番組を観ながら Blog を更新する。ガジェットを通じてその先にあるアクションを豊かに便利にしていくものであるので、新しいガジェットが登場したらより積極的に活用をしてもらいたいと安藤氏は語る。

<今後の展開>
やはりより多くのガジェットを増やしていく必要性は大きく感じており、そのため特に開発者へ対して情報発信することは重要としている。

候補の1つとして API 戦略があり単に公開して終わりではなく、それらを組み合わせることによってどういったガジェットが生まれるかを伝えていきたい。開発者に対してただ材料の提供だけをするのではなく、最近のユーザーの好みの動向から料理の仕方(レシピ)までを伝えることを想定している。

そうすることによりガジェット制作の敷居を下げ、多種・良質なガジェットを増やすことにつながるものと考えている。

また、将来的には開発者自身にも収益の分配ができるモデルを模索していきたいとし、ガジェットを媒体として広告配信ができる仕組みを設けて、ガジェット開発者との間にレベニューシェアの仕組みや、すでに米国の SNS で利用されているアフリエイトの仕組みなどを検討したいとしている。

そうすることで誰でもビジネスチャンスを得ることができ、1つのインダストリーとして発展させることがネット世界の健全化にもつながると同氏は考えている。

このように、Microsoft の戦略が実行され、うまく稼動してくると日本のウィジェット、ガジェット市場が盛り上がり大きなビジネスチャンへとつながると思われる。Microsoft の Vista サイドバーガジェットには市場の牽引役として、更なる活躍が期待できるだろう。

(執筆:株式会社ハナツキ 波多江祐介)

記事提供:HANATSUKI(ハナツキ)
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