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W3C Day Japan 2003 からアクセシビリティを考える

ファンサイド
2003年11月18日 / 00:00
 
 
「HTML や XML、CSS などという Web を支える基本技術の仕様は、 どのようにして作られ、 広まっていくのだろう」という疑問を抱いたことはないだろうか?  W3C というコンソーシアムが Web 技術の標準化と推進を行っている。 W3C とは World Wide Web Consortium の略称で、 特定の企業を指すのではなく、 世界中の約400の組織の参加によって運営されているものだ。 日本および東アジアの運営ホストは慶應義塾大学が担当している。

W3C の具体的な活動としては、 技術仕様やガイドラインの策定と、 それらを W3C 勧告として発表することが挙げられる。 勧告にいたるまでのプロセスは Web で公開されており、 どの仕様が現在どの段階にあるのか(勧告候補に入っているのか、 草案レベルなのかなど)が示されている。 また、会員でない一般に対しても、技術仕様をレビューする機会が開かれている。

最終的に勧告を行うかどうかを決定するのは、 W3C 技術総括責任者である Tim Barners-Lee 氏である。 彼は Web を発明した人物として名を馳せているが、 11月14日、W3C Day Japan 2003 という、 W3C 技術を紹介するセミナーのために来日した。

W3C DayJapan 2003 では、 セマンティック Web、Web サービスや XML、 Web アクセシビリティなど、 今後の Web の方向性を示すような興味深い内容を扱うセッションが行われた。 今回は、 この W3C Day Japan 2003の「WAI:国際化対応アクセシビリティ指針実現の可能性」について紹介し、 Web アクセシビリティについて考えてみたい。

W3C では、WAI(Web Accessibility Initiative)という、 障害をもつ人を含むすべての人が使いやすい Web を実現する活動を行っている。 テクノロジー、ガイドライン、ツール、教育、 研究開発という5つの領域からアクセシビリティを追求しているとのこと。

アクセシビリティのガイドラインと聞くと、 「Web コンテンツ制作者」向けに「Web アクセシビリティを考慮したサイトを制作するためのガイドライン」を策定するということがすぐ思い浮かぶのであるが、 WAI はそれだけではなく、 「ブラウザやマルチメディアプレイヤーを開発するソフトウェアベンダー」向けの「アクセシビリティに考慮したブラウザ・プレイヤー制作のためのガイドライン」や、 「HTML タグを書く際に用いるオーサリングツール(例:Dreamweaver や Golive など)を開発するソフトウェアベンダー」向けの「オーサリングツール制作のためのガイドライン」なども策定している。

アクセシビリティを考えたコンテンツ制作が広く一般に広がるためには、 制作側の任意の努力にまかせるだけではなく、 ツールの方からも改善プランを考えていくべきという考えによるものだが、 この試みは素晴らしいと感じる。

というのも、不景気の折、 サイト制作のコストと時間の削減が図られる中、 制作現場においては、 アクセシビリティを考慮したサイトづくりがある種の「贅沢」と捉えられてしまう場合があるからだ。

実際は、アクセシビリティを考慮することで、 サイトが訪問するユーザー誰にとっても使いやすいサイトとなり、 サイトの間口が広がるというメリットがある。 また、 SEO 対策とオーバーラップする部分もあり、 Web ブラウザ以外からのアクセス(カーナビや PDA など)にも対応できるため、 アクセシビリティについて考慮することが Web 制作上悪い結果を生むということは決してないのであるが。

サイト制作を制作会社に発注する際には、 デザインに凝るだけではなく、 ぜひこの意識を持って、 アクセシビリティ向上対策込みでスケジュールと費用を考えていただきたいと思う。 ブラウザやオーサリングツールの機能向上によって、 費用や時間も今後、圧縮されてリいくことが予想されるのであるから。

セミナーの話に戻るが、 先ほどの「Web アクセシビリティを考慮したサイトを制作するためのガイドライン」= Web Content Accessibility Guidelines は、 現在バージョン2を検討中とのこと。 日本を含め、 世界各国からその国特有の問題についての意見を取り入れ、 考えていきたいということであった。

Web はとても便利なツールで、 Web 上で日常生活上必要なさまざまな手続きができるのは歓迎されるべきことである。ただ、 もしその Web サイトがアクセシビリティを考慮しておらず、 運営側が意図しないまま、 サービスを享受できない人が出てきてしまったら?  リアルワールドのサービスを Web に置き換えることでサービスアップしたつもりが、逆に使えない人を増やしてしまった、というのでは笑い話にもならない。

Web サイトは自分の環境でだけ美しく見られればいいというものではない。 また、各種 Web ブラウザの新旧バージョンへの対応は神経質なほど行っているのに、他デバイスからのアクセスやアクセシビリティについては、 考えからすっぽり抜け落ちてしまっているのなら、 それは他人への想像力を欠いたいびつな状況ではないだろうか。

Web ユーザーの裾野はますます広がり、 また、情報家電などユーザーが Web サイトにアクセスするデバイスも、 今後多様性を増していくと想像できる。 Web 制作のみならず、 Web マーケティングの視点からも、 アクセシビリティを考慮することは必須であるのだ。

記事提供:ファンサイド
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