米国 Apple は3月3日、「CarPlay」と呼ばれる新たなプロダクトで、車載システム市場への取り組みを拡大させると公表した。

Apple の CarPlay は、自動車産業と IT 産業に大きな影響を与える:そう考える10の理由

Apple は自動車ビジネスへの進出を徐々にだが確実に進めており、同社の製品をドライビング体験と結びつける道を模索し続けている。

そのスタートは iPod だった。Apple は複数の自動車メーカーとパートナーシップを結び、iPod コネクタを搭載した自動車を開発するよう求めた。CarPlay での自動車メーカーとのパートナーシップは、この延長線上にあるものだ。

Apple による CarPlay の公表は、IT 業界に明確なメッセージを送るものとなった。Google や Samsung を含む IT ベンダーは、Apple を追いかけて車載システム市場に参入するかどうか、対応を迫られている。

だがこれは、Apple による CarPlay の発表が重要であることの、多くの理由の1つに過ぎない。ここでは、Apple による CarPlay がなぜ自動車産業と IT 産業両方に影響を与えるのか、その理由について述べてみたい。

1. Apple は CarPlay で車載システム市場に本格参入する

上記でも述べた通り、Apple はこれまでも自動車メーカーとパートナーシップを結んできてはいた。だが、それはあくまで自動車に iPod 用のコネクタを取り付けるレベルに留まる。CarPlay に対する Apple の取り組みは、これまでとは次元の異なるものだ。

Apple は CarPlay が同社の新たな収益源となることを期待している。Apple は CarPlay を、ここ数期若干の伸び悩みを見せ始めている同社の売上を再び大きく成長させるための起爆剤としたいのだ。Apple が本腰を入れたビジネスが新たな富をもたらすものとなるのか、とても興味深い。

2. ハイエンドの自動車メーカーが CarPlay を受け入れている

Apple はすでに多く自動車メーカーを CarPlay に惹きつけることに成功している。Apple が発表したところによれば、フェラーリ、メルセデスベンツ、ボルボなどのハイエンドの自動車メーカーが2014年モデルに CarPlay を統合するという。他の自動車メーカーも、将来のモデルで CarPlay に対応する。Apple は CarPlay によって、自動車メーカーにとっての重要なパートナーとなっていく可能性が高い。

3. CarPlay は iPhone の売上を促進する

CarPlay は iPhone に最適化されており、Android スマートフォンでは iPhone と同じ体験を得ることはできない。ある消費者が CarPlay に対応した自動車を買ったとしたら、その人は iPhone を買うだろうか? Apple はもちろんそれを望んでいるのだろう。

3. CarPlay は iPhone の売上を促進する

4. Samsung も車載システム開発を加速させる?

CarPlay 対応自動車を入手した消費者が iPhone を購入することをもっとも苦々しく思っているのは、Samsung だろう。Samsung はモバイル市場における Apple の最大の競合相手であり、CarPlay と同様の車載システムに取り組んでいるとうわさされている。Apple の CarPlay が成功すれば、Samsung もその代替技術の開発を加速させるだろう。

 4. Samsung も車載システム開発を加速させる?

5. Google も車載システム開発を加速させる?

Google も Android ベースの代替技術「Open Automotive Alliance」を持っている。Apple CarPlay の機能をフルに活用するには iPhone が必須となるが、Google のシステムはオープンソースであり、あらゆるデバイスで利用可能だ。Google によるオープンな取り組みが自動車ビジネスで勝利するのか。あるいはクローズドな Apple が勝つのかは、非常に興味深い。

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6. CarPlay でもっともダメージを受けるのは Nokia

CarPlay で盛り上がる車載システムの話題で取り残されているのは、車載インフォテインメントシステムの主要プレイヤーである Nokia だ。Nokia は何年もの間、世界中の自動車メーカーに対してマップソリューションを提供してきた。だが、Apple の CarPlay によって、Nokia のマップサービスは弾き出されてしまうかもしれない。Nokia は CarPlay にどのような反応を示すか、注視していきたい。

6. CarPlay でもっともダメージを受けるのは Nokia

7. Siri がすべての中心に

CarPlay で興味深いのは、Siri が全体の体験の中心にあるという点だ。だが実際に Siri を使ってみた人ならわかると思うが、音声コマンドシステムの完成度は、まだその目指す地点には遠い。

 7. Siri がすべての中心に

運転中にはどうしてもいらいらしてしまうことが多い。そんなときに Siri が利用者の意図とは異なる応答をしたら?利用者は Siri に対して怒鳴ってしまうかもしれない。Apple は Siri の機能を向上させる必要がある。それも、緊急にだ。

8. CarPlay でも、Apple の統合サービスが生きる

Apple の CarPlay は、iTunes、メッセージ、Siri といった同社の一連のサービスとシームレスに動作するよう設計されている。このことは、統合サービスを提供できる企業だけが、多くの顧客を惹きつけられるという現在の状況を証明するものとなるだろう。Amazon や Samsung もモバイル分野では同じ試みを行っているし、それができない企業はモバイル市場では僻地へと追いやられている。

8. CarPlay でも、Apple の統合サービスが生きる

統合サービスは、現在の IT 産業で最も重要なキーワードだ。

9. アプリ開発者は、利用者のアプリ体験を再考しなければならない

Apple は CarPlay でもサードパーティ製のアプリをサポートすると述べた。アプリ開発者は、アプリ開発プロセスを見直ししなければならない。

9. アプリ開発者は、利用者のアプリ体験を再考しなければならない

CarPlay では、利用者はスマートフォンを手に持った状態でアプリを使用することはない。アプリ開発者は、利用者がどのような場合に Siri を使ってハンズフリーでアプリを利用するのか、調査する必要がある。

CarPlay は開発者に対し、新たな課題を突きつけることになるだろう。

10. Apple はあらゆる価格帯の自動車に CarPlay を搭載すべきだ

Apple は現時点ではメルセデスベンツ、フェラーリといったハイエンドの自動車メーカーと提携している。だが、Apple はあらゆる価格帯の自動車に CarPlay を搭載するべきだ。CarPlay は他社と差別化をはかるためのハイエンドの機能に見える。だが、Apple が成功するためには、廉価な自動車にも CarPlay を搭載し、より多くの顧客を Apple のエコシステムへと取り込むべきだ。広く採用されなければ、CarPlay は失敗するだろう。

Don Reisinger
Don Reisinger は、フリーのコラムニスト。Ziff-Davis の Gearlog.com でのデビュー以降、Computerworld、InformationWeek などに数多くのコラムを寄稿してきた。現在は eWeek の他、CNET、LA Times でコラムを執筆している。