米国 Apple は10月22日、iPad Air を発表した。同社は iPad Air が、デスクトップクラスの A7 プロセッサ、長時間の使用に耐えるバッテリー、500グラムを切った本体重量により「まったく新しいモバイルコンピューティング体験」を提供できる製品になったと述べている。だが、その iPad Air の製造原価は、旧モデルである第3世代の iPad よりも低いことがわかった。

iPad Air、16GB モデルと32GB モデルの製造原価差はわずか9ドル
iPad Air(画像出典:IHS iSuppli)

モバイルデバイスの製造コストを分析する IHS iSuppli は11月5日、「New iPad Air Costs Less to Make Than Third-Generation iPad Model, IHS Teardown Reveals」と題されたレポートを公開。iPad Air の16GB Wi-Fi + Cellular モデルの製造原価は304ドルであり、第3世代 iPad 同モデルの製造原価325ドルと比較して、6%のコストカットがなされていることを明らかにしている。

iPad Air コスト試算表(画像出典:IHS iSuppli)
iPad Air コスト試算表(画像出典:IHS iSuppli)

IHS iSuppli のコストベンチマークサービス担当上級ディレクター Andrew Rassweiler 氏は、11月5日の声明で次のように述べている。

「iPad Air のサイズは減少しているが、利益率は増加している」

iPad Air のサイズ減少に貢献したのは、1.8ミリ厚のディスプレイ。第3世代 iPad のディスプレイは、2.23ミリ厚だった。だが、この超薄型ディスプレイは、iPad Air のコストを圧迫している。新型ディスプレイの原価は90ドルで、タッチスクリーンモジュールは43ドル。第3世代 iPad の87ドル、37.50ドルよりも高くなっている。

「iPad Air の超薄型ディスプレイとタッチスクリーンのコストは第3世代 iPad よりも増加した。だが、Apple は他の部品のコストを削減し、全体的な製造原価を低く抑えている」

Rassweiler 氏によれば、Apple は iPhone 5s/5c と部品やサプライヤーを可能な限り共通化し、コストを削減しているという。例えば、iPad Air には Apple が設計し、Samsung が製造した A7 プロセッサが搭載されているが、これは iPhone 5s にも搭載されていたものだ。だが、両者の仕様は若干異なっているという。

iPhone よりも大きなサイズのディスプレイを与えられた iPad Air 用の A7 プロセッサは、iPhone のプロセッサよりもハードな使用に耐えるよう、ヒートシンクとして機能するメタルトップが取り付けられている。また、Dialog Semiconductor によるパワーマネージメントチップも、iPhone のものとは異なっている。

その他のコストカットポイントとして、iPad Air では iPhone 5s と同じメモリーを利用している点も、IHS はあげている。

iPad Air と第3世代 iPad との比較に戻ろう。第3世代 iPad には 42.5Wh のバッテリーが搭載されていたのに対し、iPad Air では 32.4Wh と、23%も容量の少ないバッテリーが搭載された。にもかかわらず、iPad Air のバッテリー使用可能時間は、旧モデルよりも伸びている。Apple はこれを、iPad Air の消費電力を抑えることで実現したという。ディスプレイのバックライトで使用される LED ライトの数を減らしたことが、省電力実現のポイントだったそうだ。
 
iPad Air 分解図
iPad Air 分解図(画像出典:IHS iSuppli)

Apple は iPad Air で、マイクロフォン技術も向上させている。iPad Air のマイクは、アナログからデジタルに変更された。

「従来の iPad ではマイクは1つだけだったが、Apple は Air に2つのマイクを搭載している。追加されたマイクは、ノイズキャンセリングに利用されているようだ」

IHS はまた、iPad Air の原価率がモデルによって大きく異なることも指摘している。例えば、32GB モデルの製造原価は、16GB モデルよりわずか9ドル高いだけだ。だが、販売価格は、32GB モデルは 16GB モデルよりも100ドル高く設定されている。同様に、16GB モデルと 128GB モデルの製造原価差はわずかに51ドル。だが、販売価格は、128GB モデルの方が300ドルも高く設定されている。

16GB モデルと32GB モデルの製造原価は9ドルしか違わないが、価格は100ドル違う
16GB モデルと32GB モデルの製造原価は9ドルしか違わないが、価格は100ドル違う
(出典:IHS iSuppli)