先週、米国メディア サンフランシスコ クロニクル に、スタンフォード大学の研究者による興味深い研究が掲載された。その内容は、スマートフォンは搭載された加速度センサーによってトラッキングが可能とするものだった。

スマートフォンに搭載された加速度センサーにはほんのわずかなエラーがあり、スマートフォンの傾きを検出した際にセンサーがはじき出す数値には、機種ごとに微妙な違いがある。このエラー傾向は個々のスマートフォンに固有のもので、たとえ同じ組み立てラインで製造されたセンサーであっても、まったく同じ動作をするものは2つとないのだそうだ。

あなたのスマートフォンは加速度センサーでトラッキングされている?
そして、このエラー傾向は、Web ブラウザにおけるクッキーと同じように、「デジタル指紋」として利用可能だという。例えば、広告主がこのデジタル指紋によってスマートフォンの持ち主のオンライン行動をトラッキングし、それにあった広告をプッシュすることが可能となるそうだ。

このトラッキング方法の困った点は、他のトラッキング方法とは異なり、利用者がオプトアウトできないことにある。クッキーであれば削除できるが、加速度センサーは、簡単には交換できないからだ。

以上が、スタンド―ド大学による研究の概要だ。

このセキュリティ懸念は間違いなく存在している。だが、私はそれほど心配してはいない。

そもそも、モバイルデバイスは、SIM カードによって常にトラッキングされている。SIM カードは、キャリアが利用者を特定するために利用される他、電話がかかったときに、利用者がどこにいるかを確認し、最寄りの携帯電話基地局を検索する際にも利用されている。

そうモバイルフォンとは、トラッキングされるデバイスなのだ。トラッキングされていなければ、通話することさえできないし、他のサービスも利用できない。もちろん、利用者は悪意のあるサービスやトラッキングからは保護されるべきだ。だが、現在位置を明らかにすることは、モバイルデバイスの基本的な機能なのだ。

とはいうものの、スタンフォード大学による研究が注目に値するものであることに間違いはない。この研究は、一見無害に思える、ほんのちょっとした違いが、物事や人を特定するために利用できることを我々に教えてくれる。セキュリティの世界では、固有の特徴を持たないことが、最も安全であるということなのかもしれないのだ。

あらゆるケースにあてはまるわけではないが、これは、モバイルプライバシーを考える上での、重要なカギとなるかもしれない。

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner は、eWeek および InternetNews.com の主任編集者。