米国 Microsoft の共同創業者であり前 CEO の Bill Gates 氏は、米国 CNBC のニュース番組に出演し「iPad ユーザーの多くは、タイピングできず、文書を作成できず、Microsoft Office が使えない iPad にいら立っており、Surface タブレットを欲している」と述べた。

「iPad ユーザーはいら立っている」と述べた Bill Gates 氏に対する10の反論
このインタビューで Gates 氏は、Microsoft による Surface は、キーボードカバーが付属しており、Office が搭載可能なことで、iPad よりも生産性が高いことを強調していた。

だが、Gates 氏の主張は様々な点で誤っている。ここでは、Gates 氏に対する反論を試みたい。

1. Surface RT は、すでに利用者に見放されている

Gates 氏は、iPad の比較対象として、Surface Pro だけでなく、Surface RT も取り上げていた。だが、これは大きな間違いだ。Surface RT は、一般消費者からも企業ユーザーからも見放された製品だからだ。Surface RT 上では、企業ユーザーが望むアプリケーションはほとんど動作せず、デバイスにプリインストールされたアプリケーションも限られている。Surface RT は、タブレットとしてはジョークに過ぎない。Gates 氏は、iPad と Surface RT を比較するべきではなかった。

2. iPad ユーザーの「いら立ち」とは何だろう?

Gates 氏は、iPad ができないことを Surface はできると述べている。だが、iPad ができないことが具体的に何であるかについては触れていない。

iPad は薄型軽量のコンピューティングデバイスであり、そのようなデバイスに必要とされる機能はすべて備えている。たしかに、ファイル管理については制限があるが、だからといって、それを理由に iPad から Surface に乗り換える利用者がいるとは思えない。

3. 顧客は無断なお金は使わない

Gates 氏は、顧客が無駄なお金を使わないことを理解していないようだ。顧客は、Surface が本当に iPad よりも良い製品だと判断すれば、iPad を捨てて Surface を買うだろう。だが、Surface はタブレット市場でほんのわずかなシェアしか取れていない。

4. Surface のキーボードは、購入の決め手にはならない

Gates 氏が、Surface の最大のセールスポイントとしてアピールしたのは、キーボード付きのカバーだった。Gates 氏はこのカバーが、Surface を iPad よりも使いやすい製品にしていると主張している。おそらく Gates 氏は、iPad 向けにも同様の製品がサードパーティから提供されていることを忘れているのだろう。

5. iPad の仮想キーボードは、Surface よりも使いやすい

Gates 氏は、iPad の仮想キーボードを、タイピングが困難だとして批判している。だが、Surface の仮想キーボードの評価が決して高くないことには触れていない。これに対し、iPad の仮想キーボードは、高い評価を得ている。

6. iPad の方が持ち運びしやすい

Microsoft の Surface タブレットは、iPad より若干分厚く重い。タブレットの世界では、持ち運びのし易さは非常に重要なセールスポイントとなる。そしてこの分野では、Surface は iPad に劣っている。

7. Surface の価格は高すぎる

価格は、一般消費者にとっても企業ユーザーにとっても、大きな関心事だ。この分野でも、Surafece は iPad に劣っている。Surface のラインナップの中で、価格面で iPad と競合できるモデルは限られている。また、Apple には iPad mini という小型低価格のシリーズもあるが、これについて Gates 氏は触れていない。価格という点で、Microsoft は Apple に勝てない。

8. 企業も Surface に関心を持っていない

企業ユーザーを取り込む。これが Microsoft によるタブレット戦略の中心にあるものだった。だが、この戦略はうまく機能していない。世界の大企業の多くは、iPad をすでに採用しているか、採用に向けたテスト運用を開始している。中小企業では、iPad をノート PC の安価で軽量の代替品として利用を始めている。企業ユーザーは、Surface に関心を持っておらず、これが Surface の売上にも表れている。

9. 市場調査は、Gates 氏の主張と異なった結果を出している

Gates 氏はインタビューの中で、顧客は iPad にいら立っており、その代替となるタブレットを探していると語っている。だが市場調査は、Gates 氏の主張と一致しない。iPad は2010年4月の販売開始から現在まで、1億4,100万台を売り上げている。iPad の四半期ごとの出荷台数は今も増加の一途をたどっており、ここから Gates 氏の主張が正しいことを裏付けるデータを見つけることは難しい。

10. デスクトップ OS は、タブレットには向かない

Gates 氏は、Microsoft によるタブレット戦略の目玉として、PC 同様の体験をタブレットでも提供できることをあげた。だが、顧客はタブレットに PC 体験を求めてはいない。タブレットには軽量であることが求められており、タブレットの OS には起動が高速で、シンプルな作業をスピーディにこなせることが求められている。Windows はこの条件を満たしてはいない。