ボストンマラソンの爆破テロ事件をめぐり、多くの目撃者から、爆発が起きた後に携帯電話が通じなくなったとの報告が相次いだ。一部のメディアレポーターは、政府機関がさらなる爆破を阻止するために、携帯電話のネットワークを遮断させたのだろうという推測を発表した。しかしこれは事実ではない。

 ボストンマラソンのテロ事件の後に、携帯電話が通じにくくなった理由とは?
米連邦捜査局(FBI)が公開した容疑者の画像
真偽に関わらずこの噂は、テレビネットワークのレポーターたちがそのような推測をしたために、流れ続けた。このような推測が生まれたのは、AP 通信が、ネットワークは実際に遮断されたとの証言を流したためだ。AP 通信はすぐにこの報道内容を撤回したが、政府機関の措置についての噂は広まり続けた。

爆発の後の数分の間に、ボストンでは携帯電話が一時不通となったのは事実だ。2011年には、サンフランシスコの鉄道公社 BART が、BART に対する抗議行動を阻むために、地下鉄駅構内での携帯電話サービスを遮断した例がある。しかし今回はそれとは異なり、政府機関が何らかの措置をとった結果ではない。

ボストンでは、大規模の非常事態の際には、いつでも起きることが起きたのだ。誰もが同時に携帯電話を使おうとしたために、ネットワークの処理能力を超えてしまった。同様の事態は、2011年8月に米国の東海岸で大地震が発生した際にも起き、通信システムがダウンしている。

ボストンでは、2つの理由から携帯電話が通信不可能になった。1つ目の理由は、ボストン周辺におり、友人などが爆発現場にいたかもしれないと考えた人たちが皆、安否の確認のために電話をかけたためだ。一方で、友人や親族に電話をしていない人たちは、現場の写真や動画を送信しようとした。このような状況では、携帯電話のネットワークは容量を超過してしまう。ボストンで起きたのはこのような現象である。

2つ目の理由は、行政機関などの第一対応者は、携帯電話のネットワークにアクセスするために、他の利用者をブロックすることもできる、優先的なコードをもっているためだ。第一対応者は、緊急時の連絡手段にはワイヤレスのネットワークを主に使用している。この事実からも、行政機関がネットワークを遮断したわけではないのは明らかだ。

そして実際のところ、ボストンで起きた携帯電話の通信障害は、過去の非常事態の例と比べると、はるかに程度が軽く済んでいる。その理由は、携帯電話会社が予め、マラソンのコースに合わせて、ボストンとその周辺地域の通信の容量を、大幅に増やしていたことだ。その結果、容量の超過は小規模なレベルに留まった。第一対応者の利用者が多い Sprint Nextel は、eWeek に対して次のように説明した。

「電話発信とデータ送信が集中して起きたことにより、ボストン地域の携帯電話のネットワークに小規模の通信障害は生じたが、それを除いては、我々のサービスは通常通り運営されていた。通信障害が起きた時にも、利用者は発信や受信をできる。しかし通じるまでに、2〜3回試す必要はあるかしれない。このような場合、我々は電話の発信よりもテキストメッセージの利用を推奨している。テキストメッセージの送信の遅れはほとんど起きない。そして通信ネットワークの容量は、行政機関やその他の第一対応者、救急医療の関係者は、自由に利用することができる」