米衛星放送サービス会社の Dish Network が、競争の激しい携帯電話キャリアビジネスに参入するために、255億ドルを賭ける資金力と大胆さを持っていると考えたものはいただろうか?Dish Network は4月15日、Sprint Nextel にこの額を支払う計画を発表した。

Dish Network が 255億ドルで Sprint Nextel の買収を計画
Sprint Nextel の買収計画を発表した Dish Network

Colorado 州 Meridian に拠点をおく Dish Network は Sprint Nextel の株主に対して、255億ドルでの買収提案をした。255億ドルのうち、173億ドルが現金で、82億ドルが株式となる。提示額は、1株あたり7ドル。Dish Network の Charles Ergen 会長は、Sprint の取締役会会長 Jim Hance 氏への書簡で、この支払い額は既に発表されたソフトバンクの提示額を13%上回るものであると述べた。

Dish Network が255億ドルで Spring Nextel の買収を計画
買収計画を説明した Dish Network のプレスリリース(出典:Dish Network)

日本の携帯電話キャリア第3位であるソフトバンクは、AT&T と Verizon Wireless に次いで米国の携帯電話キャリア第3位である Sprint Nextel を買収することで、北米市場に参入しようとしている。ソフトバンクは2012年10月15日に、70%株式を200億ドルで購入することで Sprint Nextel と合意していたが、この取引は完了してはいない。

■ Dish 会長:「Sprint は、Dish と合併した方がより優れた企業となれる」

Dish は、ソフトバンクよりも Dish の方が顧客により多く貢献できると考えている。Ergen 氏は電話会議でアナリストに対し次のように語った、

「市場第3位の携帯電話キャリアと市場第3位の有料 TV プロバイダーが合併すれば、我々はより優れた企業になるだろう。おそらくは業界第2位、もしかしたら1位の企業になれるかもしれない」
Ergen 氏は、Sprint の株主がこの合併から得られる利益を次のように説明した。

「Dish との買収に応じれば、株主はより多くの現金を手に入れることができる。それだけではない。Dish と Sprint が合併することで、我々はより戦略的な立場が取れ、計り知れないシナジーをも得ることが可能だ。このようなメリットは、ソフトバンクの提案内容では得ることはできない」

Ergen 氏はこの合併のもたらす結果について、「シナジー効果により、企業価値は370億ドルにまで上昇する可能性がある。110億ドルのコスト削減も可能となるだろう」と述べている。

米国で1,400万人の利用者がいる Dish Network は、家庭用ブロードバンドと TV 事業を Sprint の携帯電話事業と統合し、単一のサービスと月払いのシステムにまとめることで、利用者の手間や負担を減らすことができる。

■ 弱肉強食の世界?

Dish と Sprint の合併は双方にとって、長期的に生き残るためのメカニズムになるかもしれない。Enderle Group の主席アナリストである Rob Enderle 氏は次のように指摘した。

「これは双方の企業にとって、バンドル型のサービスによる企業の合理化を生き延びるための、数少ない手段の1つである。Comcast や At & T、Verizon は全て、電話とケーブルを一緒にしたバンドル型のサービスを提供している。バンドル型のサービスは、Microsoft が Microsoft Office の競合たちを蹴散らした手段であり、バンドル型のサービスをできない企業は締め出される傾向が見られる。合併し、Wi MAX のような技術を使うことで、Dish と Sprint の合併会社は、競合他社にとって代わる、注目すべきサービスを生み出せるようになるだろう。さもなければどちらの会社も、長期的に生き残る可能性は著しく低い」