米国 Apple が、競争力を失いつつある。他社製の新型スマートフォンが、処理速度や使いやすさ、画面解像度や機能の点で iPhone を上回っているからだ。

競争力を失いつつある iPhone ― Apple は他社の新型スマートフォンを上回る iPhone を開発できるのか?

私は、BlackBerry Z10 のテストをしながら、その進化のスピードに驚いた。同デバイスは多くの点で、数か月前にテストした iPhone 5 を上回っている。

私の用意した画像を使った画面の解像度チェックでは、BlackBerry Z10 の画面解像度は、高い評価を得ている Apple の Retina ディスプレイと同等、またはそれ以上のレベルに達していた。ブラウザの速度も Safari と同じかそれ以上だ。さらに BlackBerry では、Flash を必要に応じて使用可能/使用不可に設定できる。全般的には、BlackBerry Z10 は Apple より使いやすく機能性も長けているといえる。

2013年1月に発売された BlackBerry Z10
2013年1月に発売された BlackBerry Z10

Apple を超えるスマートフォンは、BlackBerry Z10 だけではない。Nokia の Lumia 920 のディスプレイも、iPhone と同等かそれ以上の解像度を持っている。Samsung の Galaxy S III のディスプレイもほぼ同レベルだ。近日発売予定の Galaxy S4 は、iPhone のディスプレイよりはるかに優れているという報告もある。現在店頭に出回る製品の仕様を見ると、iPhone が遅れをとっていることは明白だ。iPhone の主なライバルたちは、より速いプロセッサーをもち、価格に対するメモリの容量や特性も、iPhone が及ばぬレベルだ。

Samsung は昨年、Apple に対抗する内容のテレビコマーシャルを製作した。その中で Samsung は、Galaxy S III は近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)を搭載しており、デバイス間のデータの転送が高速かつ容易であると説明していた。NFC を搭載するのは Samsung の製品だけではない。Nokia の Lumia シリーズは昨年から NFC を搭載しているし、BlackBerry が NFC の搭載を始めたのはそれよりさらに前からだ。だが、Apple に NFC はあるのか? iPhone 5S には NFC が搭載されるかもしれないが、それにしても遅すぎる。

機能面で iPhone が遅れを取っている例はいくらでもあげられるが、これ以上はやめておこう。なぜなら、より良いスマートフォンとは、その機能だけで決まるわけではないからだ。良いデザイン、製品サポート、豊富なアプリ。こういったものが揃って初めて、スマートフォンは本当に使いやすいものとなる。iPhone が多くのアプリをもっていることに疑いの余地はなく、これは iPhone が市場で優位を保ち続けていられる理由の1つだ。Galaxy もアプリは豊富で、これが Samsung の Android スマートフォンの売上が iPhone を凌ぐ要因となっている。BlackBerry は、Android や iOS デバイスほどのアプリを提供できてはいない。

しかし BlackBerry は先日、BlackBerry World ストアに10万件を超えるアプリを用意したと発表した。Microsoft も、Windows Phone ストアに15万件のアプリがあると発表している。どちらのデバイスも開発者の注目を集め続けると共に、そのアプリストアも成長を続けている。こうして、ライバル企業たちは、Apple が優位性を持っていた分野でもその差を詰めている。

それだけではない。iPhone のライバル企業は、Apple ができないことや後回しにしていることを実践している。Android は今では、マルチタスクが可能だ。Windows Phone は version 7 からマルチタスクのサポートをしているし、BlackBerry が搭載するマルチタスクの OS は、安定していると共にリアルタイムになっている。Apple だけがシングルタスクの方式を採用しており、E メールのリンクを開くという単純な操作ですら、ブラウザを開かなければならない。そして閲覧が終われば、E メールのクライアントに戻って操作をし直す必要がある。

Apple の本当の不安要因は、Apple の株価が下落していることではない。この状況にありながら、Apple が迅速な対応策を打とうとはしていないことを、Apple 信者たちは不安視している。iPhone 5S のうわさは多いが、うわさによれば iPhone 5S は、現在の iPhone 5 に機能をいくつか追加しただけのもののようだ。そう、これが問題なのだ。

では、iPhone 6 はどうだろう?これが、より高性能な iPhone になるのは間違いない。だが、それはいつになるのか? iPhone 6 は、2013年中に登場するのだろうか?可能性はある。だが、秋までには難しいだろう。それでは、年末のクリスマス商戦に間に合わない。その前に、Samsung は Galaxy S 4 を、BlackBerry は新しい BB10 デバイスを、Nokia は新しい Lumias を発売しているはずだ。そしてこれらすべてが、Apple の市場シェアを奪っていくだろう。

Apple は2つの課題の板ばさみとなっている。同社は、昔からのユーザーを満足させるためにこれまでのあり方を維持しなければならない。だが同時に、市場シェアを取り 戻すための、本格的なイノベーションを起こす必要にも迫られている。問題は、イノベーションにより Apple が大きく変化することを、昔からのユーザーが欲してはいないということだ。

Apple が直面する課題は、昨年の大統領選に敗れた Mitt Romney 氏の失敗を想起させる。Apple は今までの支持者を失うことを恐れ、従来のあり方を大きく変えられないでいる。しかし、変化しなければ、新たな支持者を得ることはできないだろう。Romney 氏は、このような変化のバランスをとることに失敗したため、大統領選で敗れた。Apple の場合はうまくいくだろうか?この挑戦には、ジャグリングのような難しさがある。うまくバランスをとらなければ、手にしているものを簡単に落としてしまうからだ。Apple は自らの地位を守るために、ボールを落とすことなく、早急に対策を打たなければならない。