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知識や経験が技術力なのではない -- KLab が考える”技術力”の本質とは

japan.internet.com 編集部
2012年1月19日 / 11:00
 
 
 
成長を続けるソーシャルアプリ・スマートフォンアプリ市場を牽引する KLab 株式会社。その成長を支える3名のキーパーソンに話を聞く特集の最終回となる今回は、企業としての事業内容や企業文化について語った取締役の森田英克氏、海外事業に挑戦する若きリーダーの野口真吾氏に続き、100名以上が在籍する技術者集団である開発部を率いる取締役開発部管掌役員の天羽公平(あもう こうへい)氏に、同社の事業を支える開発力の裏側についてお話を伺った。
KLab 株式会社 取締役 開発部管掌役員の天羽公平氏
KLab 株式会社 取締役 開発部管掌役員の天羽公平氏

● 開発部全体のレベルアップを目指しながら、開発者の個性を伸ばす仕組み

KLab は各事業に開発チームを設けるのではなく、開発部として開発者をひとつの部門にまとめ、社内の各事業に開発力を提供している。開発の中心は主に LAMP (Linux、Apache、MySQL、PHP)を使用しての開発で、そのほかに KLab の前身であるケイ・ラボラトリー時代から続く様々な基礎研究も行い、将来の開発に役立てているという。

このように、開発者を事業部と切り離してひとつの部門にまとめるということは、一見すると効率が悪いように感じられるが、天羽氏によるとこの方法は逆に生産性の向上が期待できるという。その理由が、情報・ノウハウの蓄積と共有だ。ここにも、第1回で森田氏が、第2回で野口氏が語ってきた同社の企業文化が見て取れる。

天羽氏によると、開発部では具体的に「アーキテクトグループ」というチームを作り、ノウハウを蓄積、共有している。このチームは開発部の中でも特に高い技術スキルを有するメンバーで構成され、開発スタッフが作成した設計のレビューやアドバイス、スタッフへの技術情報の提供、各プロジェクトの設計・開発工程の集約と応用などを行い、開発部内から集まってくるテクニックやノウハウの集約と共有を担う。

このように表現すると、この「アーキテクトグループ」は開発部の技術スキルをフラットにし、誰でも同様の仕事ができる"開発部の工場化"を目指しているように見えるが、天羽氏はこのような組織のあり方を「属人性を排除するためのものではない」と語る。つまり、技術スキルやノウハウ、経験を共有しながらも開発スタッフ個人の技術スキルや個性を伸ばす環境を生み出し、開発部全体のレベルアップを目指しているのだ。また、日々生まれる新しい技術や挑戦するべき課題については、なるべく多くのスタッフに挑戦の場を与え、スタッフ個人のスキルアップを目指しているという。

● KLab が考える「技術力」の本質とは

同社の歴史を振り返ると、それはモバイル領域における技術開発の歴史だと言っても過言ではない。同社の前身である ケイ・ラボラトリーは日本で初となる携帯電話で動作するJAVAアプリケーション(iアプリの原形)やBREWアプリケーション(EZアプリの原形)の開発に成功。携帯電話向けアプリケーションや企業の公式サイトの開発を数多く手掛け、現在ではソーシャルアプリ、スマートフォンアプリの他に独自のクラウドサーバー"DSAS"を mixi、GREE、mobage 向けアプリのインフラとする"DSAS Hosting for Social"として提供している。。

このような輝かしい実績を支える技術力の本質とは何か。天羽氏は、「知識や経験を持っていることが技術力なのではない」と語る。モバイルインターネットの世界は10年以上を経て成長し、開発環境やフレームワークは充実してきている。技術情報やテクニックも様々な方法で手に入る時代だ。天羽氏は、これらの情報、ノウハウが重要である一方で、これらの幅広い知識を持っていたり幅広いツールを使った経験がある状態が「技術力が高い」とは評価していない。それは「検索が上手くてツールに詳しい状態」と天羽氏。

それでは、本当の技術力とはなんだろうか。時代のトレンドやユーザーのニーズによって、提供されるサービスの形や求められる技術は異なってくる。その"時代の要請"に対して、情報、知識、経験、テクニックを組み合わせて、いかにそのニーズに応えるものを生み出すか、そのための道筋を考えられるか。これが天羽氏が考える「技術力」の本質だ。「"技術力"は"思考力"だと言ってもいい。ものごとを論理だてて考えられる力が求められる」(天羽氏)。

● 本当の技術力を手に入れるための、KLab 社内の取り組み

知識やテクニックは勉強すれば誰でも手に入れることができる一方、天羽氏が考える「技術力=思考力」は日常的に鍛えることを意識する姿勢が重要だ。「日々思考して、自分より優れた人からフィードバックをもらうことが、思考力の強化に繋がる」と天羽氏。例えば、何か解らないことがあった場合。簡単に答えを見つけようと思えば検索サイトや Q&A サイトを見れば答えはどこかに転がっている。しかし、天羽氏は安易に正解を手に入れる前に考えてみることが重要だと語る。また、正解を見つけても鵜呑みにするのではなく、「なぜそれが正解なのか」を考えることが重要だ。

そして、一人で調べて解決するだけでなく、"解らない"ということを社内で発信することも重要だと天羽氏は語る。発信するということは、ただ「教えて」と言うことではなく、「何が解らないのか」「何がしたいのか」「自分は何をどこまで考えたか」を発信するということで、そのためには自分自身の中で現在の状況を整理・分析することが求められる。頭の中の曖昧な情報を整理する作業こそが重要なのだ。そして、周囲からフィードバックを受ければ、そこから更に「なぜそうなるのか」「自分の考えの何が正しく、何が誤りだったのか」を考えることができるのだ。「解らないとき、つまずいだときこそが成長のチャンスだ」(天羽氏)。

この姿勢は、KLab の社内でも様々な部分で実践されている。例えば、そのひとつが社内の勉強会。勉強会と言えば、先輩が講師役を務め多くの人がそれを聞いたりディスカッションしながら知識を蓄えることだが、KLab では少し違う。同社では、発信者が成長することを目的に、スタッフが持ち回りで様々な技術プレゼンテーションを行うのだ。プレゼンテーションするということは、そこで披露する知識やノウハウを徹底的に整理するということ。この作業と発表、聴講者からのフィードバックを受けることにより、発信者がより明確に頭の中を整理したり、気付きを得ることができるようになるのだ。

このような様々な取り組みで、技術スキルや蓄積されたノウハウを組み合わせてサービス開発のベストな道筋を組立て、評価できる思考力を磨くことにより、KLab の開発部は成長を続けているのである。

● 未来は自分の力で明るいものにできる

最後に、KLab が目指すところについて伺った。天羽氏は「自分の未来を明るくすることができるか否かは、自分次第だ」とし、スタッフが自分の力で未来を明るいものにするためにポジティブに、アクティブに成長を続けて欲しいと語る。また、便利になる世の中に身を置きながら"ツールユーザー"としての成長ではなく、思考することを続けて思考力を高め続けて欲しいとも語る。そして、スタッフ個人個人が自分の意思により成長を続ければ、結果として会社も成長できると考えているのだ。

今後もソーシャルアプリ、スマートフォンアプリ、海外事業にはフルパワーでアクセルを踏んで成長を目指すという天羽氏。中でもソーシャルアプリ事業は好調で、KLab の成長を牽引している。「業界はこれからも成長を続ける。高いモチベーションを持った人と一緒に、この高度成長期にチャレンジしていきたい」(天羽氏)。
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