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携帯 SNS の Web2.0的可能性とそれを取り巻くビジネス上の問題点

栂野延利
2007年4月6日 / 11:00
 
 
前回、携帯有料公式サイトで人気の「着うた」や「ゲーム」などのコンテンツを無料で提供することで会員獲得し、広告販売で収入を得るビジネスモデルの出現をお話しましたが、そのモデルの中で会員リテンションを効果的に行う役割を担い、PV(ページビュー)を増大させているため最近特に注目されているサービスが携帯 SNS です。

■携帯 SNS
SNS は、個人が Web 日記による情報発信を行い、コメントやトラックバック機能を活用することで相互リンク型メディア形成を行う Blog に、その個人の友人関係や組織属性の公開機能を付加することで進化したものと定義できます。

当初 PC-SNS のサブ・ツールとしての利用であった携帯 SNSは、携帯電話特有の即時性と携帯性がそのサービス特性に合致していたため、また PC では主流であった招待制に対し誰でも参加できる登録制や、一層メディアに寄ったアプローチとなる非会員への日記公開機能などにより、昨今急速に携帯電話を主たる利用端末とした会員人口が拡大してきています。

携帯 SNS は短い文章での日記・コメントによる短時間におけるチャット的やりとりが特徴となっており、これは携帯メールの特性と同一で PC 版とは大きく異なるものです。

また内容に関しては、明確なテーマを設定せずに「暇」「挨拶」的な日記内容が多く、端末のユーザーインタフェースの悪さのせいもあり PC 版のように後から情報ソースとして参照されるというような使い方よりは、むしろリアルタイムでの会話を重視したものとなっています。

たとえば朝イチに SNS 内での友人に向けて「おはよう」というだけのシンプルな日記を書くと、直ぐにそれを見た他の友人が「おはよう」コメントの連鎖を行うようなやり取りは、PC 版ではあまり見られないような使われ方です。

しかも友人招待から始まらない登録制携帯 SNS 内でのバーチャルな友人とのバーチャルなコミュニケーションは、いつでも・どこでも・だれとでも会話できるというリアルタイム特性と、アバターなどの活用による匿名性の向上により、PC 版よりも一層ユーザーが「ハマり」易いものとなっています。

例えば先述の「無料コンテンツ+SNS」携帯ビジネスモデルにおいては、一度ダウンロードしたり攻略したりした後はサイト再訪頻度が低くなる「着うた」や「ゲーム」の提供時に、ユーザーが「ハマり」易い SNS を必須登録させることで、サイト再訪頻度を上げさせ、サイトの広告価値を高めることを可能としています。非常にリテンション効果の高い携帯 SNS ですが、実はユーザーに登録させるまでが非常に大変なため、その認知を無料着うたやゲームで行うということは招待制と比較しても非常に効果が高い集客手法であると言えます。

■Web2.0的可能性
双方向型アプリケーションにより情報の送受信者の立ち位置を変動させた Web2.0的サービスは、誰もが情報発信者になることができ、RSS やトラックバック、コメント付加などの機能によりバイラル的な広がりによる新しいメディアを生み出すことを特徴としております。多くの Web2.0的サービスの中で、携帯 SNS はその即時性と携帯性において他サービスに対し大きなアドバンテージを持っています。

既に PC のポータルサイト事業者では、Blog や SNS サービスを付加提供することで、ユーザー発信型メディアとしての側面を出してきており、クチコミによってサイトが注目され書籍・映像化されることも珍しくなくなりました。携帯アプリケーションでも電子書籍は利用数が増加してきており、携帯で小説を発表するプロ作家等も注目を浴びています。

携帯 SNS では PC とは異なるその端末特性から、写真やムービーの記録や情報 UP が簡単に素早く行えるため、パブリック・ジャーナリスト的な情報発信が増えるとメディア的広告価値が大きく変わっていくものと思われます。

また同じく搭載が義務付けられた GPS 機能という端末特性により、地図サービスとの連動による店舗情報発信やその紹介などマッシュ・アップ的サービス展開の容易さも PC に比べて格段にやりやすいことが特徴です。そのほかにも、情報へのリーチという観点から QR コードの活用や Phone To 機能による Web ページからの直接ダイヤルなど、PC では無い便利な機能との Web2.0的マッシュ・アップの動きは携帯 SNS の更なる拡大を想像させます。

携帯 SNS のユーザーの特徴として、携帯事業者による公式サイト料金代行回収の推進により、PC ユーザーに比べコンテンツに対して課金されることに慣れていることも特徴です。この点でもユーザー情報発信のビジネス化のベースとして、携帯 SNS は大きな可能性を秘めていると言えます。

■ビジネス上の問題点
SNS や Blog などに代表される CGM においては、しばしば「炎上」という言葉が聞かれます。これは悪意あるコメントやトラックバックにより、発信者情報の価値を下げ最悪の場合情報サイトの封鎖までに結びつく行為です。発信が容易である・誰もが発信できるということは、逆にだれでも嘘をつける・非難できることを意味しているのです。

広告収益ビジネスモデルにおいては、ユーザー・リテンション・ツールとしてサイトの PV を効率的に増加させることが可能な携帯 SNS ですが、サービスプロバイダーにとってはその特性が逆にビジネス上の問題点にもなりえるため、正に諸刃の刃といえるアプリケーションであると言えます。

具体的には、CGM においてはたとえ規定していてもユーザーはコンテンツの所有権は自身にあると考えがちなため、無料型広告収益モデルであっても載せる広告内容がきちんと発信情報にあっていないと情報発信者からの反発を簡単に受けることになります。これは情報発信者であるユーザーとの対話に基づく広告サービス構築スタンスが必要であることを意味します。

しかも前述のような炎上を食止め、また広告価値があるサイトとしての品位を保つためには、機械的なチェックだけでなく人的リソースによるコンテンツ・チェック体制の構築・運営が必須となります。そのため既存携帯サービスへの SNS 付加導入検討においては、サイトクオリティと運営・管理コストを事業収支の中で適当なバランス・レンジ内に納めることができるかが重要となるのです。
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