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ケータイビジネスにおける「2:8の法則」

三田隆治
2004年1月29日 / 00:00
 
 
皆様、おひさしぶりです!  モバイルジャーナリスト/コンサルタントの三田隆治です。 多忙のため長い間連載がストップしてしまってごめんなさい。 ひさびさの再開なので、 タイトルも一新、とはいっても内容は前と同じく、 ケータイビジネスに関わっていこうという方のためのお役立ちコラムをお届けします。

携帯ビジネスにおける「優良顧客」とは、 支払っているパケ代の金額でほぼ判別できる。

「パレートの法則」という言葉を知っていますか? 「2:8の法則」といえばご存知の方も多いでしょう。 これはイタリアの経済学者パレートが提唱した理論で、 「上位2割の高額所得者が社会全体所得の8割を占める」というものですが、 現代ではマーケティング分野にも応用されています。 たとえば、人気のある上位2割の商品やサービスが総売上の8割を上げる、 顧客の2割が売上の8割を稼ぎ出す、 従業員100人の会社があったら、 実際に組織に貢献しているのは20人程度……などなどです。 では、ケータイビジネスにおいても、 この「2:8の法則」は応用可能なのでしょうか?

昨年11月、KDDI は携帯電話初となるパケット料金定額制、 「EZ フラット」をスタートさせました。 EZ フラットは月額4,200円ですが、 アンケート調査によれば、 多くのケータイユーザーはこれを「高い」と評したようです。 実際、KDDI も NTT ドコモも、 パケット通信の ARPU(ユーザーの平均支払い金額)は2,000円台前半ぐらいですから、EZ フラットは平均値よりも随分高い金額設定といえます。

KDDI の小野寺社長は、EZ フラットの発表時に興味深い発言をしています。

「パケット料金を月額4,000円以上払っている携帯電話ユーザーは、 すべてのキャリアを合わせて1000万人以上はいる」(小野寺社長)

現在、日本のブラウザフォンユーザーは約6,700万人なので、 この「1000万人以上」という数字は、 パレートの法則で言うところの、 「2割の上位顧客」にかなり近い数字であることがわかります。 実際、さる証券アナリストの分析によると、 日本の携帯キャリアのパケット収入は、 もっともパケ代を多く支払う上位1割のユーザーによって総収入の7割近くが稼ぎ出されている、 というデータすらありほどです。

定額常時接続が一般的になったパソコンの Web ビジネスでは、 自社の商品・サービスにおける「見込み優良顧客」がどこにいるのか、 見極めるのはそう簡単なことではありません。 ネット接続に費やす時間、各種サービスの利用率などなど、 各種の指標をリサーチしなければならないでしょう。

しかし、ケータイビジネスにおける見込み優良顧客は、 それに比べると割とシンプルに判断することができます。 パソコンと違い、いまだにパケット従量課金が基本のケータイでは、 大雑把にパケ代を多く支払っているユーザーこそが、 各種ケータイサービスにおける「優良顧客」だとみなすこともできるのです。 特に、 パケット収入がそのまま決算内容に反映する携帯キャリアにおいては、 なおさらでしょう。

NTTドコモがもうじき発売する新しい FOMA の「900i」では、 ゲームアプリのラインナップの豊富さが盛んに強調されています。 ゲームに興味がない人から見れば、 「どうしてドコモは、所詮は嗜好品に過ぎないゲームばかり強調するのだろう」と不思議に思われるかもしれませが、 実のところ現在のケータイビジネスにおいて、 もっとも多くのパケットを使ってくれるのは、 実はゲームユーザーであることが多いのです。 そう考えれば、新しい900iシリーズで、 なぜあそこまでゲームが強調されるのか納得が行くのではないでしょうか。

パソコンに比べて気軽に使える、と考えられがちなケータイですが、 実のところ、真に「ユニバーサルサービス」と呼べるケータイサービスは、 もはや通話とメールぐらいで、 他の付加的なサービスは、 何であれほとんどがパレートの法則に則っていると考えられます。 つまり、ケータイにおけるビジネスモデルを構築する上では、 まずは「上位2割のヘビーユーザー」にターゲットを絞り込んで、 事業の「選択と集中」を行うことが重要です。

よくある誤解ですが、 「誰でも使えるサービス」というのは概念としては素晴らしいですが、 もともとケータイをあまり使わない人の行動様式を根底から変えることは、 きわめて困難なのです。 広く普及するユニバーサルサービスを考えるよりも、 まずは、 「ケータイをよく使う2割の人」にキチンとリーチできるサービスを立案しましょう。それがあなたのケータイビジネス売上げの8割程度までを稼ぎ出してくれるはずだからです。

記事提供:三田隆治(モバイルジャーナリスト・プランナー)
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