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「BREW」その将来性は?

三田隆治
2003年2月6日 / 00:00
 
 
1月29日、KDDI は、かねてより一部の端末で採用されていたアプリケーションプラットフォーム「BREW(Binary Runtime Environment for Wireless)」を、今後発売するauの第3世代携帯電話機に順次導入していくと発表しました。(詳細:KDDIニュースリリース
携帯電話に搭載するアプリケーションとして、今まで KDDI は NTTドコモの Java「iアプリ」の後塵を拝してきました。ドコモのiアプリ対応モデルは現在約1600万台が出荷されていますが、これは KDDI の Java 搭載端末約400万台の4倍にも当たる数です。今後、KDDI はローエンドの機種に対しても BREW サービスを搭載していく方針であり、年間で700万台程度の BREW 対応端末を出していくとしています。つまり1年後には700万台ほどが「BREW 対応ケータイ」となるというわけです。
この BREW、ケータイビジネスに関わる我々はどのように捉えるべきでしょうか。そして、BREW の将来性はどうなのでしょうか?

◎ 疑問残る「Java との2本立て」展開

記者発表会の説明を聞いていて気になったのは、今後決して「auのすべての端末が BREW 対応になるわけではない」ということです。
このあたりは、多分に BREW を提供している Qualcomm 社とのライセンスの事情があるのだと思いますが、製品セグメントとして「ローエンド」の端末には BREW を搭載するが、アプリケーションプロセッサを搭載しているような、いわゆる「ハイエンドモデル」については、従来通り Java が搭載されるそうです。
つまり、KDDI のケータイアプリは、今後2つのプラットフォームが並存することになるのです。

ケータイのアプリ市場を、パーソナル市場と法人市場に分けて考えた場合、今後次第に法人分野は開拓されていくとしても、今のところ主流は圧倒的にパーソナルユースです(そうでなくても元来アプリとは関係なく、法人契約の携帯電話で KDDI はドコモに比べて圧倒的にシェアが少ない)。そうなると素朴な疑問として沸き起こってくるのは、「ケータイでアプリケーションを使いたい」というユーザー層は、比較的携帯をハードに使うユーザーですので、ハイエンドモデルを購入する確率も高いはずなのですが、そうしたハイエンドユーザーは、BREW の高性能の恩恵を受けられないということになるわけです。このあたり、KDDI はどのように考えているのでしょうか。

au向けのアプリを開発するコンテンツプロバイダなどにとっては、1年後に BREW と Java との比率がどうなっているか、当然気になるところでしょう。携帯電話における KDDI の市場シェアが、今後もそれほどの変動がないと仮定すれば、1年後には、巷で稼動している端末の比率は「BREW:2」に対して、「Java:1」ぐらいになってしまう可能性も十分ありえます。
ところが、今までアプリケーションを多く使ってくれていたヘビーユーザーは、むしろ Java 対応のハイエンド端末を買う可能性も高いことになります。両者は記述する言語も大きく違いますので(BREW は C++)、アプリケーションの移植はそう簡単ではありません。このあたり、BREW と Java 、一体どちらに狙いを定めるべきか、大変に悩むところなのではないでしょうか。

このあたりの動向を占う上では、今後ハイエンドモデルに対しても BREW 搭載の動きがあるのかどうかを注視しておくべきだと思います。しかし、正直なところ私は、CP(コンテンツプロバイダ)さんなどに意見を求められても、現状で BREW に全力投球すべきなのかどうか判断できないでいます。ひとつ言えるとすれば、「少なくとも今年(2003年)は、BREW アプリ市場の本格的な立ち上がりは期待できないだろう」ということぐらいでしょうか。ウエイトが BREW と Java で分散されるわけですから、そんなに早期の立ち上がりが実現するとは思えません。

ただし、携帯電話のアプリケーションには、家庭用ゲーム機用ソフトなどと同じく、『早期参入メリット』というものがあるのも事実です。まだ競合者が少ない段階ならば、BREW で良いアプリケーションを出すことができれば、一定の期待値も望めるでしょう。
しかしハッキリ言って、もしこのコラムを読みながら「BREW どうしようかなぁ」などと思っているのならば、早期参入メリットを享受するにはもう遅すぎます(笑)。それならばむしろ、BREW において今後期待される、法人ソリューションの分野や国際的なサービス展開に対して、じっくり戦略を立てて取り組むほうが得策ではないか、僕個人はそう思います。

◎法人市場、そして国際展開に期待?

BREW においては、法人ソリューションの分野においても多くの可能性が言われています。ただし、先ほども言ったように、もっともネックになるのは、法人分野ではアプリ以前に「KDDI の携帯電話自体のシェアが少ない」ということです。少なくとも現状の KDDI は、法人市場においてはパーソナル市場以上に、シェア面で不利なのです。
特に今回は、BREW の活用法として、外回りのホワイトカラービジネスマンなどを支援するソリューションなどが出ていました。ホワイトカラービジネスマンは、もともとドコモのシェアが高いところですから、BREW の優位性うんぬん以前に、まずは「果たして BREW の利便性のためだけに、キャリア契約までを乗り換えてくれるのか?」という難問が控えています。単に「BREW」という新しいインフラを強調するだけのソリューションでは厳しいだろうと言わざるを得ません。それによって得られる、明確なコスト優位性や利便性が必要なはずです。

今後1年ほどで、法人ソリューションを使うユーザーがドコモから KDDI に乗り換える大きなキッカケがあるとするならば、KDDI の方が圧倒的に優れている分野、たとえば GPS などが活かされているかどうか、そして2003年秋以降にスタート予定の新しい方式「cdma2000 1x EV-DO」の導入でしょう。EV-DO ではパケット通信コストがかなり下がると言われています(定額制ではない)。前回のコラムでも述べたように、インフラが変わって通信コスト体系が変化すれば、そこで提供されるサービスのコンピタンス(競争力)は、大きく変わってくる可能性があります。特に、大人数が同時に使用して、まとまったマスになりやすい法人分野ではなおさらです。
そうした意味で、私も他の人同様、この cdma2000 1x EV-DO のコスト体系がどのぐらいのものになるか、大変な興味を持って発表を待ち続けている一人です。

また BREW については、国内市場だけに留まらず、海外市場もある程度グロスで考えることもできます。BREW の発表と同時に KDDI は、すでに BREW を展開している韓国の KTF、中国の中国聯合通信とワーキンググループを発足させ、コンテンツの流通と課金などの共通化を目指していく予定としています(具体的な決定時期は未定)。
少なくとも、この2社をグロスで併せて考えれば、BREW の潜在市場は国内のみで考えるときの倍ぐらいは期待できそうです。今後、こうしたグローバルな「BREW 陣営」は、一定の勢力に発展していく可能性は高いと思われます。そういう意味では、最初から国内市場だけでなく、こうしたグローバル市場を目線に入れてサービス展開を模索することも面白そうです。

記事提供:三田隆治(モバイルジャーナリスト・プランナー)
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