島津製作所が「新型コロナウイルス検出試薬キット」を4月20日に販売開始すると発表した。当面は国内販売に限定するが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めているという。

島津製作所が「新型コロナウイルス検出試薬キット」を発売
島津製作所がによる「新型コロナウイルス検出試薬キット」

現状の遺伝子増幅法(PCR法)による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出では、鼻咽頭拭い液などの検体からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要となり、これが多数の検体を迅速に検査する際の妨げになってきた。


今回島津製作所が販売するキットでは、RNAの抽出・精製工程が省けるため、検査に要する人手を大幅に削減できるという。また、2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮できる。手作業を行わずに済むため、人為的なミスの防止にもつながるとしている。

島津製作所が「新型コロナウイルス検出試薬キット」を発売

「新型コロナウイルス検出試薬キット」は、島津製作所独自のAmpdirect技術をベースに開発されたもの。Ampdirect技術は、「生体試料に含まれるたんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できる」というもの。島津製作所はこれまで、このAmpdirect技術を用いて腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、赤痢菌、ノロウイルスなどの病原体検出試薬を開発・販売してきており、それらの開発で培った技術を応用して新型コロナウイルス検出試薬を開発した。

なお、このキットの使用には、PCR装置や分注ピペット、恒温槽、小型遠心機をはじめとする機材や、試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売は予定されていない。