カブベースのカスタム電動バイク「eCub2」が4月下旬から中国で販売開始される。ビルドしたのは上海に本拠を置くShanghai Customs。



ホンダC70スーパーカブからエンジンやチェーンなどを取り払い、かわりに1,000Wのリアハブモーターを装備したカスタムバイク。このハイパワーなリアハブモーターは、時速45キロ程度での走行を可能とする。



バッテリーはバイクのフレームに組み込まれた。Panasonic製セルを採用した48Vのもので、4.5時間の充電で約40キロの走行が可能だ。


航続距離が短いのでは？と思った人もいるだろう。開発者のMatthewさんによれば、タイヤをもっと細い、電動バイクでよく使用されるものに交換すれば走行可能距離を伸ばすことは可能だという。だがMatthewさんは、カブのこのタイヤが好きで、あえて交換しなかったそうだ。


ところで、なぜMatthewさんは「eCub2」を製造を思い立ったのだろうか？

ニュージーランド育ちのMatthewさんからは、上海は電動バイク/スクーターが世界一普及している街に見えるそうだ。だが普及の理由は、「ほかに移動手段がないから」といったもの。電動バイク購入者の多くは価格の安さにのみ注目し、電動バイクメーカーはそれに対応して少しでも安く製造することにフォーカスしている。このため、上海には美しいデザインのバイクを製造するメーカーは少ないという。

とはいえ、美しいデザインの電動バイクを欲するユーザーは存在している。そのユーザーの欲求に応えるために、Matthewさんは「eCub2」の製造を思い立ったそうだ。


スイングアームは6061アルミ製とされた。リアブレーキはディスクブレーキに換装されている。ヘッドライトはLEDに交換された。



Matthewさんが特にこだわったのが、ケーブル類の取り回し。通常はフェアリングの裏に隠すが、「eCub2」ではセンターパイプの中を通し、すっきりとした外観を作り出した。


なお画像はプロトタイプ版。製品版ではアルミフェンダーや取り外し可能な自転車ペダル、上海で人気のアクセサリーなどが付属する。また、バッテリーも取り外し可能なものになる予定だという。

価格は1万人民元。4月の完成車販売開始後は、カブを「eCub2」に変換するためのコンバージョンキットの販売も開始する予定。コンバージョンキットでは、ベース車両を自分で用意し、自分で「eCub2」にカスタマイズする必要がある。だが、Matthewさんの頭を悩ましたケーブル類の取り回しや、車両の重量バランスなどについて考える必要はないので、1から自分でカブを改造するよりもずっと楽だそうだ。


日本への販売についてMatthewさんに尋ねたところ、完成車の形では考えていないが、コンバージョンキットなら販売できるのでは、という回答を得た。日本で「eCub2」を走らせるには保安部品の取り付けなど、超えなければならないハードルが上海よりも少し多い。だがそれでも「eCub2」のデザインは魅力的だ。改造の腕、そして役所との交渉に自信のある方、挑戦してみてはいかがだろう？