水素で走る自転車「Alpha bike」

水素自転車「Alpha」がフランスのサン=ロー、シェルブール、バイヨンヌといった地方自治体に販売された。台数は60台ほど。販売したのはフランスビアリッツのスタートアップ企業Pragma Industries。

水素で走る自転車「Alpha bike」

高圧空気を収納しているスキューバダイビングのタンクのように、水素を圧縮して収納するタンクを装備。このタンク内の水素と大気中の酸素で発電してモーターを回す仕組みだ。2リットルのタンク一杯の水素で、約100キロ走行できる。水素自転車については、多くの企業が開発を続けており、ドイツLindeの「Linde H2」を含め複数のプロトタイプが発表されているが、実際に製造販売し、その後も販売を継続しているのはPragma Industriesだけだと同社は主張している。


ドイツLindeの「Linde H2」
参考画像:ドイツLindeの水素自転車「Linde H2」

電動アシスト自転車と比較した際の「Alpha」の最大のメリットは、バッテリーを充電する時間が不要なこと。従来型の電動アシスト自転車では、バッテリーの充電に通常3~6時間程度必要となる。だが「Alpha」であれば水素の充填は2分以内だとPragma Industriesは説明している。これは利用者にとっての大きなメリットとなるだろう。

水素で走る自転車「Alpha bike」

「Alpha」をシェアサイクルとして運営する場合にも、これはメリットとなる。数十台もの電動アシスト自転車を充電するのは大変だが、水素の充填であれば管理が容易だからだ。

Pragma Industriesの手掛ける水素自転車の価格は現時点では7,500ユーロ(約99万円)とかなり高価。このため現時点では同社顧客は大手企業や、シェアサイクルを運営する地方自治体が中心となっている。だが今後は価格を下げて、一般利用者にも販売していきたいとしている。目標としている市販価格は3,500ユーロ(約47万円)程度とのこと。

ドイツLindeの「Linde H2」