カワウソのイメージ
2月に撮影されたカワウソ

日本で38年ぶりに見つかった野生のカワウソは、人間の力を借りず海を渡ってきた可能性もある。環境省の調査で明らかになった。

カワウソが見つかったのは長崎県の対馬。島に住む別の動物、ツシマヤマネコの生態を調査するため、琉球大学が設置したカメラが、この2月に偶然姿をとらえた。


絶滅したと思われていたニホンカワウソかもしれないと話題になり、環境省も夏にかけて複数回の調査を実施。カワウソの糞や足跡を発見し、少数が河川や海岸を利用しながら生息していることを確認した。

カワウソの足跡イメージ
環境省の調査で見つかった足跡

糞をミトコンドリア遺伝子分析したところ、いわゆるニホンカワウソには該当しないものの、「ユーラシアカワウソ」の特徴が明らかになった。ほとんどの糞が同じ遺伝子を示し、性別はオス。韓国とサハリンのカワウソと近縁だった。さらに分析を進めているが、結論を得るにはまだしばらく時間がかかるとしている。

以前から対馬に住んでいたカワウソの子孫か、あるいは新たに海外からやってきたカワウソなのか。ただ朝鮮半島と対馬を行き来する船で人間に気づかれず「密航」してきた可能性は低い。カワウソは目立つ動物で、かつ韓国と対馬とを直接つなぐ定期便に大型の貨物船などがなく、小型の客船では隠れるところが少ないためだ。

一方で、このカワウソあるいは先祖が、自力で海峡を渡った可能性は否定できない。海流が運んだり、漂流物に乗ったりして、朝鮮半島から対馬にたどりつくことはありえる。