体内時計のイメージ

人間の一部には、遺伝子の「夜ふかし(night owl)」変異を持つものが存在する。睡眠、食事など1日の行動にかかわる体内時計(生物時計)が24時間周期を維持しづらく、段々とずれてしまう。こんな研究結果が出ている。今年のノーベル医学生理学賞を取得した研究者らが突き止めた。

生物時計のイメージ

スウェーデン・ストックホルムのノーベル財団は10月3日、体内時計の分子的メカニズム仕組み)を解明した米国ロックフェラー大学の生物学者Michael W. Young(マイケル・W・ヤング)氏がノーベル医学生理学賞を得たと発表した。ブランダイス大学のJeffrey C. Hall(ジェフリー・C・ホール)、Michael Rosbash(マイケル・ロスバッシュ)両氏との共同受賞だ。


ヤング氏らはまず環境の変化に合わせて体内時計を適切に調節できるショウジョウバエを調べ、そこから同じような体内時計を動物全体が持っていることを証明した。ヤング氏の研究室はさらに睡眠障害やうつ病をわずらっている人間由来の細胞を研究し、結果として人間の体内時計を遅くする共通の突然変異を発見した。

これを「夜更し(night owl)」変異と呼んでいる。変異によって、睡眠、食事などにかかわる体内時計の周期が通常より長くなり、1日24時間周期を維持することが困難となることが分かった。人間の睡眠障害、時差ボケがなぜ起きるのか、夜勤労働の課題を理解するうえで重要な意味を持っている。