東芝のシステム概念図

自分の音声を人工知能(AI)技術で模倣し、分身となる合成音声を作り上げて、ゲームやアニメなどに使ってもらい、好きなセリフをしゃべらせられる仕組みが登場した。東芝デジタルソリューションズが開発した「コエステーション」だ。

東芝デジタルソリューションズのAI技術「RECAIUS(リカイアス)」を生かす。


音声を提供したい人は、スマートフォンの専用アプリケーションを使って指定の文章を読み上げ、声の特徴を学習させると、自分の声の分身である「コエ」を生成、登録できる。

するとほかの人が、ゲームやアニメなどさまざまな場面にこの「コエ」を登場させ、任意のセリフをしゃべらせられるようになる。

一般の人だけでなく、声優やタレントなど専門家の「コエ」も取り込む計画だ。音声を提供する人を、東芝デジタルソリューションズでは「声主(こえぬし)」と呼んでいる。

何ができるようになるかといえば、例えばゲームでは、遊ぶ人が主人公の名前を自由に決めたあと、登場人物にその名前を呼ばせられる。つまり従来のようにセリフをあらかじめ録音する方式では、対応しきれなかった機能が可能になる。

アニメ制作会社などは、登録している膨大な「コエ」の中から作品に合いそうなものを見つけて制作に利用できるようになるという。SNS運営会社なども「コエ」を生かした新しいサービスを展開できるようになるそう。

なお東芝デジタルソリューションズは声主の権利を保護し、適切に利用されるための仕組みづくりや高度の犯罪対策が必要であるとして、エンターテインメント業界やメディア業界に人材を派遣して著作権やコンテンツの管理・流通に強みを持つクリーク・アンド・リバーと協力する。

はたしてうまくゆくだろうか。以前からあるVOCALOID(ボーカロイド)ブームなどによって、合成音声を楽しむ層が明らかになったとはいえ、アニメやゲームのファンがキャラクターの音声に求める水準はかなり高い。コエステーションの合成音声がどの程度、自然に響くかが要になりそうだ。