日本経済新聞社の決算サマリー
人工知能が書く「決算サマリー」

日本経済新聞社(日経)は人工知能(AI)技術を使って自動作成した記事を掲載し始めた。一見しただけでは人間が書いた記事とほぼ見分けがつかない。

米国の報道機関などでは以前からAI技術に記事をまかせる動きが進んでいる。大手通信社のAP(Associated Press)は2014年に企業の決算に関する記事を自動化し、2016年には米国プロ野球マイナーリーグの試合結果速報もさせ始めた。Wordsmithというシステムを採用している。


APの採用するWordsmithシステム
米国の大手通信社APはWordsmithというシステムですでに決算記事を自動化

日本でも天気予報などでAI技術を利用する取り組みは進んでいる。そうしたなか、日経は決算の要点を自動で文章として配信する「決算サマリー」を始めた。

企業がインターネット上で決算資料を公表すると、日経はAI技術を駆使して数分で売上高や利益などをまとめ、背景や理由なども添えて速報する。すでに「日本経済新聞 電子版」や会員制情報サービス「日経テレコン」に多数、こうした記事が登場している。

例えば「サカイ引越センターの16年4~12月期、純利益12.9%減29億円」といった記事。

日経の決算サマリーの例
日経の決算サマリー、おおむね自然な文章

内容を一部引用すると次の通り。

「第2四半期連結会計期間より株式会社SDホールディングス及び子会社3社の損益を連結したことにより、のれん及び契約関連無形資産の償却費が8000万円発生したものの、営業利益は増益、経常利益は増益となった」

おおむね自然な文章で、速報としては十分に役立つと思える。日経グループの通信社NQNなどで人間の記者が書く短い記事とさほど変わらない、という印象だ。

当面はベータ版(試用版)の位置づけで、今後さらに品質の向上や改善、機能の強化を進めていくという。言語理解研究所(ILU)、東京大学などと協力している。