量子メスの模型画像
量子メスの模型画像(出典:量研機構)

がんを治療する「量子メス」の開発に向け、政府の研究機関や企業が動きを本格化させている。量子科学技術研究開発機構(量研機構)をはじめ、住友重機械工業、東芝、日立製作所、三菱電機の各社が協定を結んだ。

量研機構は、1994年に「重粒子線がん治療専用装置」を開発し、これまで1万人超の治療実績を持つ。この装置は従来の外科手術などの治療法と比べ患者への負担が軽く、免疫抑制などがないのが利点という。


新たな「第5世代量子線がん治療装置」、通称「量子メス」も同様の特徴を持ち、また国内外のさまざまな医療機関に設置可能。レーザー加速技術や超伝導技術などを採用して重粒子線がん治療装置を小型化し、同時に建設コストを下げる計画で、さらに既存の炭素イオンを使う方式より高い治療効果が期待できるマルチイオン照射の実用性も実証するそう。

量子メスの模型画像
「量子メス」実現には各社の技術を生かす(出典:量研機構)

量研機構では、装置の実現に必要な技術力を持つ各社と協定を結んだ。それぞれの人材、装置、施設を生かし、役割を分担して開発に取り組むそう。