南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」

両輪駆動の自転車は「DOUBLE」を含め何台か市場に出回っており、悪天候時の強い味方として存在している。都市部ではちょっとした雪で公共交通機関がストップしてしまうが、そんなときでも、両輪駆動の自転車であれば、走行できてしまうことがある。

だが、南極を走るとなるとどうだろう?


Kate Leemingさんは、自転車を使用した南極点到達と、南極大陸踏破を目指すオーストラリアの女性冒険家。そして、Leemingさんがこの探検に使用するファットバイクをベースに量産化された自転車が、来年3月に販売開始となるのだ。

南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」
オーストラリアの女性冒険家Kate Leemingさん

南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」
自転車を使用した南極点到達を目指す

南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」
Leemingさんのファットバイクがベースの量産モデル「FAT 4」と「FAT 5」、来春発売

Leemingさん用の両輪駆動の自転車を開発したのは、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアに本拠を置くChristini Bicycles。LeemingさんはChristini Bicyclesによる自転車での試験走行をすでに実施し、これに成功している。

南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」
試験走行はノルウェー領スピッツベルゲン島で実施された

Christini Bicyclesは、Leemingさん向けに製造した両輪駆動ファットバイクの量産タイプを製造し、来年3月の販売開始を目指しているというわけだ。

南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」

Christini Bicyclesが採用した両輪駆動システムは、リアハブからペダルパワーを取得するタイプ。ペダルを漕ぐことで発生したパワーはチェーンを伝いリアハブまで到達したあと、シートステイ、トップチューブ、ヘッドチューブと上っていく。そのイメージは、川を遡るサケのようだ。その後、フロントフォークを経て、フロントハブまで届けられ、前輪を回転させるパワーとして使われる。

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Christini Bicyclesが採用した両輪駆動システムでは
リアハブからペダルパワーを取得

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リアハブ周辺のクローズアップ画像
ペダルパワーはここから

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フレーム内部を伝わって

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フロントハブへと伝達される

この両輪駆動駆動システムは、乾燥した路面を走行するなど、不要なときには解除することが可能だ。

Christini Bicyclesは現在、kickstarterで両輪駆動のファットバイク購入者を募集中。4,995ドルの出資でタイヤ幅4インチの、5,995ドルの出資でタイヤ幅5インチのファットバイクが入手可能だ。出荷は2017年3月に予定されている。

南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」

また、Kate Leemingさんによる南極点到達と、南極大陸踏破は、2017年11月から2018年1月まで、45日間かけて実施される予定。走行距離は1,850キロに達すると予想されている。

南極を走れる自転車、両輪駆動の「FAT 4」と「FAT 5」

実際のところ、われわれ一般人がこの自転車に乗り、南極点を目指すことはまずないだろう。だが、南極を走れる自転車なら、都心の雪でも大丈夫なのではないか?「FAT 4」と「FAT 5」は、そんな気持ちにさせてくれるファットバイクだ。もちろん、過信は禁物だけど。

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