中国のApp Storeで人気の「陰陽師」
中国のApp Storeで収益上位のゲーム「陰陽師」

iPhoneやiPad向けにゲーム、アプリケーションを配信する「App Store」。7―9月にその収益は空前の成長を遂げ、中国が世界最大の市場におどりでた。調査会社のApp Annieが報告している。

中国におけるApp Storeの売り上げは7―9月で17億ドル(約1,700億円)超。米国と日本を追い抜いた。


App Store 収益上位3か国の推移
App Store 収益上位3か国の推移(出典:App Annie)

7―9月に中国に住む人がApp Storeに使った金額は、2年前の5倍以上に増えた。中国の成長は米国に15%の差をつけている。App Annieの予測によるとこうした傾向は今後も続き、中国市場は2020年までに収益の絶対額ですべての国を上回る見通し。

中国でApp Storeが上げる収益の大半は、もちろんゲーム。トップセールスランキングを見ると、独自タイトルが目立つ。

中国のApp Store トップセールスランキング
独自タイトルが多いが

とはいえどことなく日本のマンガ、アニメ文化の影響を色濃く感じさせる作品も多い。例えば「陰陽師」は日本の平安時代を舞台に、日本の声優を起用して美しいグラフィックと組み合わせている。ほかには「ワンピース」「NARUTO」「聖闘士星矢」などのキャラクターを使ったものもある。

なおApp Annieは、中国市場ではApp Storeの「エンターテインメント」や「ソーシャルネットワーキング」といったそのほかの主要分野でも進歩を遂げており、この1年間に3倍以上になったと指摘する。特に動画ストリーミングは、スマートテレビや独自作品への企業の投資により伸びている。

いずれにせよ「パブリッシャーやマーケターが、アプリ戦略で中国を優先していないのなら、すぐに優先度を上げるべき」とApp Annieは指摘する。ハリウッドなどの映画業界でも中国重視が言われるが、アプリ業界も無縁ではないのかもしれない。

ただし中国でアプリを成功に導くには、現地インフラの複雑さと独自の文化的嗜好を学ぶ必要があるという。中国では地元企業の手掛けたアプリを好むため、単なる翻訳ではなく、さらに踏み込んだ地域への最適化が必要になるそう。

中国市場の存在感がいよいよ高まり、次々と魅力ある作品が生まれるにつれ、日本を含む世界の娯楽、文化、表現にたずさわる業界が、その価値観に合わせどのように変化していくのかは興味深い。