充電不要の電動アシスト自転車、VFの「La Specialita Ruggine」

スイス「Velocipede Fogliaverde(VF)」の「La Specialita Ruggine」は、いま流行りの“電動アシストに見えない電動アシスト”自転車。だがそれだけではない。この自転車は充電が不要な上に、フレームが最初から錆びている。

電動アシストに見えない”フレームを、あえて錆びさせてみました
“電動アシストに見えない電動アシスト”自転車「La Specialita Ruggine」
充電不要という驚きの新機能搭載

バッテリーの充電が不要になった理由は3つ。動的エネルギー回生システム(kinetic energy recovery system:KERS)の採用とアシスト機能作動の限定、そして車重の軽量化があげられる。


「KERS」は、利用者がブレーキをかけているとき、坂道を下っているとき、それに平地を高速で走行しているときなどに、ホイールの回転を利用してバッテリーを充電する。一方で、電動アシスト機能の作動は、漕ぎ出しや加速時、そして登坂時などに限定した。これにより充電不要で、電動アシスト機能を利用可能にしている。

「La Specialita Ruggine」動的エネルギー回生システム(kinetic energy recovery system:KERS)の採用
「KERS」はブレーキング中などに、バッテリーを充電する

車重は、電動アシスト自転車としては軽量な15キロ。いわゆる“ママチャリ”(15~20キロ程度)と同等、もしくはより軽い設定となっている。「La Specialita Ruggine」は、平地の走行ではモーターによるアシストをほとんど得られないが、この軽さにより軽快に走行できるそうだ。

では、“電動アシストに見えない”秘密はどこに隠されているのだろうか?その秘密は、リアホイールに装着されたハブモーターにある。

“電動アシストに見えない”電動アシストでは、バッテリーはフレーム内に隠されることが多い。だが、重さ3キロのこのハブモーターは、なんとリチウムイオンバッテリーや上述の「KERS」を内蔵。通常の自転車と同様の外観を獲得しただけでなく、バッテリーからモーターへと続くケーブルもない、スッキリとした美しいデザインを実現した。

「La Specialita Ruggine」のKERS
バッテリー&モーター&回生システムがすべてこの中に!

ブレーキワイヤーなども、可能な限りフレーム内に隠されており、通常の自転車以上にすっきりしたデザインの実現を目指している。

「Velocipede Fogliaverde(VF)」では、ケーブルはフレーム内に
ワイヤー類を隠してすっきりと

もうひとつの特徴が、錆びたフレーム。VFの解説によれば、このフレームは管理された環境でわざと錆びさせたものだそう。ある程度錆びたところで錆びの進行を止める透明なコーティングを施して、錆びを表面のみに留めているそうだ。これにより、フレームの強度を維持しつつ、錆びの美しさを楽しめるフレームに仕上がったという。

「La Specialita Ruggine」の錆びたフレーム
錆びの美しさを楽しめる??

正直、筆者は錆びを美しいと感じたことはないのだが、VFが公開している画像を見る限り、その色は悪くはない気もする。だが、自転車好きの人にとっては、錆びは天敵。あえて、このフレームを欲しがる人は、いるのだろうか?

「La Specialita Ruggine」赤錆びフレーム
廃墟マニア、的な?

「錆びたフレームは、ちょっと」という人には、通常フレームの「Piacevole Corsa」も用意されている。機能はフレームが錆びていないこと以外は、「La Specialita Ruggine」と同じだ。

ノーマル塗装のPiacevole Corsa
通常フレームの「Piacevole Corsa」
錆びていない!

VFは、「La Specialita Ruggine」と「Piacevole Corsa」共通のアクセサリーを豊富に用意している。これは、「電動アシスト自転車はデザインが特殊で、アクセサリーなどによるドレスアップが楽しめない」という声に応えたものだという。

「La Specialita Ruggine」用アクセサリ
アクセサリーの一例:専用ロック(レザーケース入り)

「Velocipede Fogliaverde(VF)」の「La Specialita Ruggine」アクセサリー例:木製ペダル
アクセサリーの一例:木製ペダル

多くの電動アシスト自転車同様、スマートフォンとの連携機能も、もちろん搭載されている。

「La Specialita Ruggine」スマートフォン連携機能
アプリ機能は標準的なもの

VFは現在、「La Specialita Ruggine」と「Piacevole Corsa」の世界的プロモーションを兼ねてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施中。欧州仕様車なので日本では公道を走行できないが、参考までに入手に必要な出資金額を紹介すると、錆びたフレームを持つ「La Specialita Ruggine」が本稿執筆時点で3,900スイスフラン(約40万円)、通常塗装の「Piacevole Corsa」が3,200スイスフラン(約33万円)となっている。

この金額を見る限り、フレームを錆びさせるには約7万円の費用がかかることになる。これは、入門者用のクロスバイクが購入できる値段だ。販売が開始されたら、購入者に「なぜ錆びた方を選んだのか?」を是非聞いてみたい。

「Velocipede Fogliaverde(VF)」のv
錆びて無い方が、いいよね?