隕鉄の短剣
出典:The meteoritic origin of Tutankhamun’s iron dagger blade

エジプト第18王朝のファラオ、トゥト・アンク・アメン、通称ツタンカーメン。その副葬品である短剣は、宇宙から落ちてきた隕石由来の物質でできていた、とする話題がインターネット上で盛り上がっている。

紀元前14世紀に生きた少年王の墓からは、有名な黄金の仮面をはじめとする多くの副葬品が見つかっている。その中に黒鉄の短剣があるが、当時の技術でどうやって高品質な精錬ができたのかが、以前からちょっとした謎になっていた。


今回、どうやら「隕鉄(鉄隕石)」由来らしいという説が強く推されている。ミラノ工科大学のダニエラ・コメッリ准教授らイタリアとエジプトの研究者によるチームが、蛍光X線による分析をもとに結論づけた。

隕鉄は小惑星の核などのかけらと見られており、高純度の鉄のほかニッケルなどを多く含んでいる。高度な技術を持たない古代では貴重な金属資源で、また天からの贈り物としてもエジプトを含め各地で珍重され、文献にも残っている。まさに王にふさわしい副葬品だ。

コメッリ氏らの論文は、学術出版のJohn Wiley & Sonsが運営するWebサイト「Wiley Online Library」から閲覧できる。