重さ1kgの図書の配送に成功。でも目的はほかにもアリ(画像提供:プロドローン)
重さ1kgの図書の配送に成功。でも目的はほかにもアリ(画像提供:プロドローン)

無人航空機「ドローン」で、図書を配達する試みが、日本で成功を収めた。なんだそれだけか、と思うなかれ、これはドローンの「乗っ取り」を防ぐため通信を暗号化したうえで行った実験だという。情報通信研究機構(NICT)とプロドローンが実施した。

NICTによると、ドローンは急速に普及し、さまざまな物資を運ぶ配送サービスも始まろうとしている。ただドローンを地上から遠隔制御するための通信は、電波の傍受や干渉、妨害を受けやすいにもかかわらず、標準的な暗号化すらしていない事例も多い。


今回の実験では国家戦略特別区域の1つである秋田県仙北市で、ドローンに約1kgの図書を積み、学校の図書室から図書室へと運んだ。

学校から学校へドローンで図書を配送
学校から学校へドローンで図書を配送

無事成功したのだが、重要なのは通信に「共通鍵暗号(AES方式)」や「ワンタイムパッド暗号」を適用した点。「乗っ取り」「情報漏洩(ろうえい)」を防ぎながら、ドローンによる配送サービスが行えると実証した。

NICTとプロドローンは、今後も仙北市で実験を続け、ノウハウなどを蓄積する考え。今回はドローンの離着陸操作を手動で行ったが、いずれ自動化する計画だ。また複数の拠点を結ぶような広い配送網を築く展望もある。

がっちり暗号化。ところで図には「いらすとや」さんのイラストが
がっちり暗号化。ところで図には「いらすとや」さんのイラストが

将来は、薬など個人情報の保護が求められる分野などで技術を生かしたいとしている。